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「長計上必要な項目欠落で損害」分譲主を提訴

 都内築四年・九十六戸のマンション。訴訟背景には築一年目に外壁タイルで白華現象が見られ、その対応による「分譲業者への信用喪失」(理事長)があるという。

3500万円の賠償請求

 一つ目の裁判は管理組合が約三千五百三十八万円の損害賠償を請求。内訳には給排気口のベントキャップや屋上避雷誘導線等に関する共用部分の瑕疵が含まれているが、七割に当たる約二千五百万円は「長計による積立金の欠損金」として請求している。
 同建物は開放廊下・バルコニー・外部階段の手摺部分とエレベーターシャフトの外枠にアルミ製の柵が設置されている。これらの部分は大規模修繕工事のたびに取り外し等が必要になり、費用は約二千五百万円は必要だと外部に依頼した一級建築士が指摘している。
 竣工時の長計項目には反映されておらず、管理組合はこの欠損金を損害とし「故意または過失により発生が確実な損害を被らせた責任があり、不法行為」として売主に賠償を求めている。一方売主のコスモスイニシアは「手摺を取り外さず、すき間の外壁を細い筆で塗るとか、手摺をずらして塗装するなどで対応は可能」と反論している。裁判では「正しい長計」をめぐり、論争が行われている。

設計図書の交付巡ってもトラブル

 もう一つの裁判は同管理組合が設計図書の交付等を請求。売主は竣工後、マンション管理適正化法に基づき、規定十一種の設計図書を交付したが組合側は「これらの図書では工事完了時の仕様が明らかではない」として設計図書の追加提出を求めた。売主側は「請求図書は法令の対象外」として反論していたが、昨年九月、東京地裁は一部の設計図書の交付を命じた。しかし他の図書の提出は請求を退けた。売主は控訴している。

背景に深刻な不信感

 訴訟の背景には、分譲業者に対する管理組合の深刻な不信感がある。
 外壁の白華現象を疑問に思った理事長が外部の一級建築士に相談し、外壁や廊下等の一部ウレタン防水部分の塗膜が設計図書既定の二_の厚さに満たない事も判明。外部建築士と一緒に建物を確認する過程で、不具合と思われる個所に直面し「分譲時の販売パンフレットには高品質の仕様をうたっておきながら、なぜ竣工後の建物が違うのか」と、素朴な怒りが込み上げてきた。
 交渉を重ねた結果、一部手直し工事が行われた部分もある。交渉で求めている水準が特に高いのではなく「商品なのだから販売通り、支払った金額に見合うだけのマンションであるべき」と当然の要求をしている、というのが理事長のスタンスだ。
 分譲業者への信頼が喪失した結果、管理組合としては建物の品質を一から確認する作業として正確な設計図書や長計が必要とされた、と考えている。(マンション管理新聞 第858号より)



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